なぜAXISを開発したのか
AXISは、日本の陸上長距離・駅伝文化に特化した競技力向上のためのデータ分析プラットフォームとして開発しました。
近年はGPSウォッチの普及により、多くのランナーが走行距離やペース、心拍数、GPSデータなどを簡単に記録できるようになっています。
私は現役で競技を続ける一人のアスリートとして日々トレーニングを重ねる中で、「もっとこの腕についている高性能デバイスのデータを活用できるのではないか」と感じる場面が何度もありました。
もちろん、それぞれのデバイスに付属するアプリだけでも、今まで見えなかった情報が見られるようになったことは大きな進歩です。また、海外製の分析ツールには非常に優れたものも数多く存在し、私自身もこれまでさまざまなサービスを利用してきました。
一方で、日本の長距離・駅伝チームの現場で使うことを考えると、いくつか物足りなさも感じていました。
海外向けに設計されたツールは、個人競技としてのランニングには優れていても、日本特有の「チームで同じメニューを実施し、一人ひとりの状態を比較しながらマネジメントする」という運用には十分対応していないものが少なくありません。日本語表示が不自然だったり、チーム全体を俯瞰する機能が限られていたり、「あと少し現場に寄り添ってほしい」と感じることもありました。
さらに、データを記録できることと、そのデータを競技力向上につなげられることは別の話です。
競技を続ける中で、「このトレーニングは本当に狙い通りの負荷だったのか」「調子が良かった時期にはどのような変化があったのか」「故障につながる兆候はなかったのか」といった仮説を何度も立ててきました。
しかし、それらを客観的なデータをもとに振り返り、検証できる環境は十分に整っていませんでした。
特に競技レベルが上がるほど、競技力を伸ばすために改善できる差はわずかになります。だからこそ、その小さな変化を見逃さず、仮説と検証を繰り返しながらトレーニングを改善していくためのデータ活用が重要だと考えています。
特に日本の長距離・駅伝は、一人ひとりが競技者でありながら、チームとして結果を追い求めるという独特の文化があります。
選手個人の状態を理解することはもちろん重要ですが、それと同じくらい、チーム全体のコンディションやトレーニングの流れを把握し、一人では気づけない変化を見つけることも欠かせません。
私は大学でスポーツ科学・統計データ分析を学び、その後は所属企業でデータ分析やAIの活用・業務導入に携わってきました。
そして昨今の生成AIの進化によって、自分が本当に作りたい「日本の陸上長距離・駅伝のための分析ツール」を、一人でも形にできる時代になりました。
「競技者として感じてきた課題」と「データ分析・AIの知識」。
その二つを形にしたものがAXISです。
AXISは、単にデータを並べるツールではありません。
チーム全体を俯瞰しながら、一人ひとりの変化にも気づけること。データから次の一手を考えるための土台をつくること。そして、指導者や選手がデータに基づくより良い意思決定を行える環境を提供することを目指しています。
日本の長距離・駅伝文化には、世界に誇れる素晴らしい歴史があります。
その文化に、データとAIという新しい選択肢を加えることで、長距離界の競技力向上に少しでも貢献できることを願っています。